オフィスチェアのガスシリンダーが勝手に下がる!修理と交換法を解説

オフィスチェアのガスシリンダーが勝手に下がる!修理と交換法を解説

オフィスチェアのガスシリンダーが勝手に下がる!修理と交換法を解説

こんにちは。プレステージチェア、運営者の「RYO-MA」です。

オフィスチェアを長く愛用していると、座っている最中に突然「スーッ」と座面が勝手に下がる現象に遭遇することがありますよね。何度レバーで上げても、気づけばまた下がっている。

これ、地味ですが作業の集中力を削ぐ本当に厄介なトラブルです。お気に入りの椅子であればあるほど、なんとか修理して使い続けたいと思うのは当然のことかなと思います。

原因はどこにあるのか、自分で交換や応急処置はできるのか、その際のサイズ選びや古い部品の捨て方はどうすればいいのか。

今回はそんな疑問や不安を解消するために、私自身の知識と経験をフル動員して、具体的な解決策を分かりやすくお話ししていこうと思います。

この記事のポイント
  • 座面が勝手に下がってしまう主な原因と寿命の目安
  • ホースバンドを活用した効果的な応急処置の手順
  • 失敗しない交換用ガスシリンダーのサイズ測定と選び方
  • 難関である固着したシリンダーの外し方と安全な廃棄方法
目次

オフィスチェアのガスシリンダーが勝手に下がる原因

まずは、なぜあんなに頑丈そうなオフィスチェアの座面が勝手に下がってしまうのか、そのメカニズムと対策について掘り下げていきましょう。

原因を知ることで、これから行うべき対処法が「応急処置」で済むのか、それとも「完全な修理」が必要なのかが見えてくるはずです。

寿命や故障で座面が下がる理由

オフィスチェアのガスシリンダー内部構造と故障原因を示す断面図イラスト。高圧窒素ガス、オイル、バルブ、摩耗したパッキンからのガス漏れ、バルブの破損が日本語で示されている。
イメージ画像

オフィスチェアの座面が下がる最大の原因は、ズバリ「ガスシリンダー内部のガス漏れ」です。

シリンダーの中には高圧の窒素ガスとオイルが封入されていて、この圧力が私たちの体重を支えたり、クッションのような役割を果たしたりしています。

しかし、長年使っていると、内部のガスを密閉しているゴム製のパッキン(シール材)が摩耗したり硬化したりします。

すると、座った時の体重圧に耐え切れず、隙間からガスが少しずつ逃げてしまい、結果として座面を支えきれずに「スーッ」と下がってしまうんですね。

一般的に、ガスシリンダーの寿命は安価なモデルで2〜3年、高品質なものでも5〜10年程度と言われています。
(参考:一般社団法人日本オフィス家具協会

毎日体重を支え続けているパーツですから、消耗品と割り切る考え方も必要かもしれません。

また、ガス漏れ以外にも「バルブの故障」というケースもあります。

衝撃を与えたり、内部で部品が破損したりしてバルブが閉じなくなると、レバーを引いていなくても常にロックが解除された状態になり、一番下までストンと落ちてしまうこともあります。

ホースバンドを使った応急処置と固定

オフィスチェアのガスシリンダーの勝手な沈み込みを防ぐ応急処置の手順を示す3枚の写真。左から、ロッドの清掃、滑り止めのゴムシートの巻き付け、ホースバンドでの固定作業の様子。
イメージ画像

「新しい椅子や部品が届くまでの間、なんとかして今の高さで固定したい!」

そんな方には、ホームセンターなどで手に入る「ホースバンド」を使ったDIYによる応急処置がおすすめです。

これは、シリンダーの銀色の棒(インナーロッド)部分に金属製のバンドを巻き付け、物理的にそれ以上沈み込まないようにストッパーをかける方法です。

ただし、金属の棒に金属のバンドを直接巻いても、ツルツル滑ってしまって効果が薄いことが多いんですよね。

成功率を高めるホースバンド固定のコツ

ポイントは「摩擦」です。以下の手順を試してみてください。

  1. ロッドの油分をしっかりと拭き取る(パーツクリーナー等が有効)。
  2. 固定したい位置に、ゴムシートやダクトテープなどを巻き付けて「滑り止め」を作る。
  3. その上から、対応サイズ(20mm〜32mm程度)のホースバンドをドライバーでガッチリと締め込む。

この方法なら、かなりの確率で座面の降下を食い止めることができます。数百円でできるので、コストパフォーマンスは抜群ですね。

割り箸や塩ビパイプでの修理の限界

ネットで検索すると、ホースバンド以外にも「割り箸を周囲に貼る」や「塩ビパイプを被せる」といった方法が出てくることがあります。これらについても触れておきましょう。

まず、割り箸をテープでぐるぐる巻きにする方法は、手軽ですが強度不足です。

大人の体重がかかると割り箸が潰れたり折れたりして、座面が傾いてしまうリスクが高いです。また、見た目もあまり良くありませんよね。

次に塩ビパイプですが、これは強度的には安心感があります。しかし、パイプを縦に切断する手間がかかる上に、一度取り付けると高さの微調整が全くできなくなるというデメリットがあります。

ペットボトルは絶対NG!

たまに見かける「ペットボトルを切って挟む」というアイデアですが、これは絶対にやめましょう。プラスチックが薄すぎて一瞬で潰れてしまいますし、破片が飛び散る可能性もあり危険です。

やはり、手軽さと確実性のバランスを考えると、先ほど紹介したホースバンドに軍配が上がるかなと思います。

ガスシリンダーの修理費用と買い替え

さて、ここからが本題です。応急処置はずっと使えるわけではありません。

ガス圧特有の「フワフワした座り心地(サスペンション機能)」も失われてしまいます。恒久的に直すなら、シリンダーの交換か、椅子の買い替えを検討する必要があります。

方法費用目安メリットデメリット
DIYで部品交換約3,000円〜6,000円安価に済む作業が大変(特に取り外し)
メーカー修理約15,000円〜確実で安心コストが高く、時間がかかる
椅子の買い替えピンキリ新品になる処分費用がかかる

もしお使いの椅子が数千円〜1万円程度の安価なモデルなら、部品代や手間を考えると「買い替え」の方がコスパが良いケースが多いです。

逆に、5万円以上するような高級チェアや、愛着のある椅子であれば、苦労してでもシリンダーを交換する価値は十分にあると言えるでしょう。

メーカー保証や汎用部品の互換性

交換を決意した場合、まずはメーカー保証期間内かどうかを確認してください。保証期間内なら無償で修理してもらえる可能性があります。

保証が切れている場合、メーカーから純正パーツを取り寄せるか、Amazonなどで売られている「汎用品」を使うことになります。

実は、多くのオフィスチェアのガスシリンダーは規格が似通っていて、汎用品でも使えることが多いんです。サンワサプライなどが交換用シリンダーを販売しており、入手も比較的容易です。

ただし、ハーマンミラーのアーロンチェアやオカムラの一部の機種などは、固定方式やケーブルの仕組みが特殊な場合があるため、汎用品が使えないこともあります。事前にしっかりと形状を確認することが大切ですね。

オフィスチェアのガスシリンダーが下がるなら交換と廃棄

ここからは、実際に「交換しよう!」と決めたチャレンジャーな方のために、具体的な作業手順と、外したパーツの捨て方について解説します。

特に「古いシリンダーを外す」作業は、想像以上にハードルが高いので覚悟が必要です!

交換用ガスシリンダーのサイズ測定

オフィスチェアのガスシリンダー交換に必要な3つのサイズ測定箇所を示す写真。上段左はノギスでアウターシリンダー径(50.0mm)、上段右はインナーロッド径(28.0mm)を測定。下段はメジャーで縮小時全長(280mm)を測定している様子。
イメージ画像

部品を購入する前に、必ず現在付いているシリンダーのサイズを測りましょう。

間違ったサイズを買うと、座面が高すぎて足がつかなくなったり、逆に低すぎたりしてしまいます。

測定すべき主なポイント
  • アウターシリンダー径(太い筒の部分): 一般的には直径50mm程度が標準ですが、必ず確認を。
  • インナーロッド径(細い軸の部分): 座面裏に刺さる部分で、28mmが一般的です。
  • シリンダーの全長とストローク: 一番縮めた時の長さと、伸ばした時の長さを測ります。

ゲーミングチェアなどを使っている方は要注意です。「短尺タイプ」と呼ばれる短いシリンダーが使われていることが多く、一般的なオフィス用シリンダーを入れると座面が高くなりすぎてしまうことがあります。

固着して外れないシリンダーの外し方

固着したオフィスチェアのガスシリンダーを外すため、パイプレンチを使ってインナーロッドを回そうとしている様子。傍らには浸透潤滑剤(KURE 5-56)が置かれ、ロッドにはレンチで掴んだ傷跡が残っている実践的な修理風景。
イメージ画像

ガスシリンダー交換における最大の難関、それが「固着」です。

シリンダーはネジではなく「テーパー嵌合(かんごう)」といって、座るたびにクサビのように食い込んで固定される仕組みになっています。

数年間座り続けたシリンダーは、金属同士が完全に一体化していると言っても過言ではありません。

手で引っ張ったくらいではビクともしませんし、ゴムハンマーで優しく叩いても外れません。ここで多くの人が心が折れそうになるのですが、正しい道具と「思い切り」があれば外せます。

パイプレンチとハンマーを使うコツ

固着を外すために必要な「三種の神器」があります。

それは、「浸透潤滑剤(5-56など)」「パイプレンチ」「金属製の大型ハンマー」です。

座面側を外すコツ

まず、接続部に潤滑剤をたっぷり吹き付けてしばらく待ちます。そして、シリンダーのロッド部分をパイプレンチでガッチリと掴みます(傷が付くので布などは挟まず直接掴みます!)。

この状態で、全体重をかけて「回す」んです。テーパー嵌合は回転方向に弱いので、バキン!と音がして少しでも回れば、あとは引き抜くことができます。

脚部側を外すコツ

オフィスチェアの脚部側からガスシリンダーを外すため、金属製ハンマーでシリンダーの底面を力強く叩き出そうとしている様子。脚部は木材で固定され、傍らには潤滑剤のスプレー缶が置かれている実践的な作業風景。
イメージ画像

脚部側は、シリンダーの底面をハンマーで叩き出すのが基本です。

この時、遠慮は無用です。「親の敵!」と思うくらいの勢いで、金属ハンマーで底面をガンガン叩いてください。

ゴムハンマーでは衝撃が吸収されてしまうので効果が薄いです。

どうしても外れない時は…

もしハンマーで叩いても外れない場合は、脚部側の太い筒もパイプレンチで掴んで、無理やり回転させてみてください。「回転+打撃」の合わせ技が最強のソリューションになります。

ガスシリンダーの捨て方と自治体ルール

ガスシリンダーの適切な捨て方を2つのシナリオで示す写真。左は自治体の指定回収場所で係員に引き渡す様子(粗大ごみ等)、右は民間の不用品回収業者に依頼してトラックで回収してもらう様子(事業系は産廃)。
イメージ画像

無事に交換できたら、古いシリンダーの処分です。ここでも注意が必要です。

ガスシリンダーには高圧ガスが封入されているため、昔は「穴を開けてガスを抜いてから捨てる」と言われていました。

しかし、今は「穴あけ不要」としている自治体が増えています。というか、肉厚の鉄の筒にドリルで穴を開けるのは、火花でオイルに引火したり、破裂したりする恐れがあり非常に危険です。

基本的には以下の流れで処分を検討してください。

1.自治体の指示に従う

「スプレー缶」や「危険ごみ」、あるいはそのまま「粗大ごみ」として回収してくれる地域が多いです。

2.不用品回収業者に依頼

自治体で回収していない場合は、専門業者に引き取ってもらいます。

企業やオフィスで使っていた椅子の場合は「産業廃棄物」になります。家庭ごみとして出すのは法律違反になるので、必ず産廃業者に依頼してくださいね。

参考:一般社団法人日本エアゾール協会「正しい捨て方」

まとめ:オフィスチェアのガスシリンダーが下がる問題

修理が完了し、快適なオフィスチェアに座って笑顔でデスクワークをする日本人男性の様子。
イメージ画像

今回は、オフィスチェアのガスシリンダーが下がる原因から、ホースバンドでの応急処置、そしてDIYでの交換方法までを詳しく解説してきました。

  • 座面が下がる原因は、主に内部のシール劣化によるガス漏れ。
  • 応急処置なら、摩擦を高めた上での「ホースバンド固定」が最強。
  • 恒久対策ならシリンダー交換だが、固着を外すにはパイプレンチなどの専用工具とパワーが必須。
  • 廃棄の際は、無理に穴を開けず自治体のルールをよく確認する。

お気に入りの椅子が復活すれば、仕事のモチベーションもまた上がってくるはずです。ご自身の状況に合わせて、ベストな解決策を選んでみてくださいね。

【関連記事】

あわせて読みたい
オフィスチェア座面高40cm以下!女性や小柄な方【必見】 オフィスチェア座面高40cm以下!女性や小柄な方の椅子選びとは こんにちは。プレステージチェア、運営者の「RYO-MA」です。 オフィスチェアの座面高が40cm以下のものを...
あわせて読みたい
オフィスチェアの肘掛けはいらない?邪魔な理由&迷った際の考え方 オフィスチェアの肘掛けはいらない?邪魔な理由&迷った際の考え方 こんにちは。プレステージチェア、運営者の「RYO-MA」です。 オフィスチェアを購入する際、肘掛けを...
あわせて読みたい
オカムラのサブリナとシルフィーの違いを比較!【決定版】 オカムラのサブリナとシルフィーの違いを比較|後悔しない選び方 こんにちは。プレステージチェア、運営者の「RYO-MA」です。 「そろそろ自宅の椅子を本気で良いものに...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

長年の編集者生活において、心身の不調をきっかけに「パフォーマンスを左右するツール」としての椅子の重要性を痛感。その経験から世界中のワーキングチェアを探求し、編集者ならではの客観的な視点と徹底したリサーチに基づき、専門的な情報を分かりやすく発信しています。あなたの健康と生産性を高める「運命の一脚」との出会いを誠実にサポートします。

目次